はじめに:「ひとり事務」って実際どうなの?
「ひとり事務」で検索してこの記事にたどり着いた方は、きっとこんな疑問を持っているのではないでしょうか。
- 未経験でもできるの?
- 一人でやるって、実際どのくらいきつい?
- 自分に向いているのかどうか不安…
- 給与や将来性はどうなの?
わかります。私もそうでした。
引き継ぎなしで放り込まれた初日、渡されたのはノート1冊だけ。「何月何日にどこに支払ってください」「社長に頼まれたら炊飯器でごはん炊いとく」——そんなメモが数ページ書かれているだけでした。そんな経験をした人間が書いているので、「ひとり事務しんどい」という気持ちはとてもよくわかります。
こんにちは、いもこです。40代・独身・実家暮らし。小さな会社でひとり事務として17年働いています。入社当時は未経験・前任者なし・引き継ぎマニュアルなし、というトリプルコンボでのスタートでした。入社3か月目には「辞めます」と社長に伝えています。それでも気づいたら17年経っていました。
この記事では、そんなリアルな経験をもとに「ひとり事務」について知っておきたいことを一通りまとめています。仕事内容・大変さ・メリット・向き不向き・給与・長く続けるコツまで、この1本で全体像が把握できるように書きました。
この記事でわかること
- ひとり事務とはどんな仕事か(定義と現実)
- 具体的な仕事内容(1日・1か月・1年の流れ)
- 大変なところ・きつい点(体験ベース)
- しんどさへの具体的な対処法
- メリット・楽な点
- 向いている人・向いていない人の特徴
- 給与・待遇のリアル
- 身につくスキルと将来性
- 長く続けるために大切なこと
- 筆者の本音まとめ
ひとり事務とは?まず定義から
ひとり事務とは、「会社の中で事務全般を担当する人間が自分一人」という状況のことです。特に中小企業や小さな会社でよくある体制で、担当業務は経理にとどまらず、総務・労務・庶務まで広がることがほとんどです。
「経理の補助かな?」くらいのつもりで入社した私が、気づいたら会社の裏方ほぼ全部を一人で回している状態になっていました。よくある話らしいです。
一言で表すなら、**会社の「なんでも屋」**に近い仕事だと思っています。
ひとり事務の仕事内容
全体イメージ
ひとり事務が担当する主な仕事はこのあたりです。
- 経理(請求書・領収書の入力、支払い管理、給与計算)
- 総務・労務(社会保険の手続き、年末調整、各種申告)
- 庶務(電話対応、郵便・FAX管理、備品管理、掃除)
- その他(ホームページ更新、補助金・助成金の調査・申請)
私の場合は後から「賃貸物件の管理」「工事現場の手伝い」まで加わりました。これは会社によって差がありますが、「最初に言われた仕事だけで終わる」ケースはかなり少ないと思っておいた方がいいです。
なお、月次・年次決算は顧問税理士事務所に外注しています。当社が発行する請求書は社長が作成しているので、私は受け取った請求書の管理と支払い処理が中心です。会社によって何を外注するかは違いますが、「経理の全部を一人でやる」わけではないケースも多いです。
1日の仕事の流れ
勤務時間は9時〜18時(残業禁止のルールあり。私は18時03分には事務所の外に出ています)。大まかな流れはこんな感じです。
- 9:00〜9:30 事務所の掃除(神棚・トイレ・テーブル拭きなど)
- 9:30〜9:50 メール・FAX・郵便チェック
- 9:50〜10:00 スケジュール確認
- 10:00〜10:11 一息休憩(この「11分」には理由があるのですがそれはまた別の機会に)
- 10:11〜 その日の優先業務を処理
- 12:00〜13:00 昼休憩(完全にひとりの時間。これが意外と好き)
- 13:00〜 午後の業務再開
- 15:00〜15:10 一息休憩(こっそりお菓子タイム)
- 17:50〜18:00 社長への報告・翌日のスケジュール確認
ルーティンで進む日もあれば、突発的な来客・急ぎの依頼が割り込んでくる日もあります。「予定通りに進む日のほうが少ない」くらいの感覚でいるとちょうどいいです。
1か月の流れ(定期業務)
月初から月末にかけて、支払いや給与計算などの定期業務がサイクルで回ってきます。
- 月初(1〜5日):請求書の受け取り
- 1日:給与計算・賃貸物件の家賃入金チェック
- 8〜9日:請求書集計→支払いリスト作成→資金想定
- 9日:ネットバンキングで給与振込・各業者への振込・銀行外出(記帳・納税)
- 10〜20日:請求書・領収書・預金出納の入力業務
- 20日・月末:各支払い業者への振込処理
この定期業務を軸に、空き時間でホームページ更新や補助金対応などが入ってきます。スケジュールに空きがあるようで、気づくといつも何かで埋まっています。なお、経理処理だけに絞れば、月次の定常業務は6〜7日あればひと通り終わります。残りの時間に総務・労務・その他の業務が入ってくるイメージです。
1年の流れ
当社は3月決算です。年間を通じて以下のような時期ごとの業務があります。
- 4月:決算準備、労使協定届・基準日届の提出、税理士事務所へ書類引き渡し
- 5月:決算確定→月末納税
- 6月:労働保険の年度更新
- 7月:算定基礎届、源泉所得税の中間納付
- 10月:年末調整の書類を社員に配布
- 11月:予定納税、年末調整書類の回収
- 12月:年末調整
- 1月:源泉所得税納税・法定調書合計表の作成・給与支払報告書の送付・償却資産申告
- 3月:決算月のため決算関連の集計・各チェックを最優先
1月と3〜5月が特に忙しく、月次業務と年次業務が重なるこの時期はスケジュール管理をしっかりしないと普通に詰みます(笑)。また、建設許可証の更新(5年ごと)や役員の重任登記など、数年単位で発生する仕事もあるので、年間スケジュールとは別に「数年スケジュール」も頭に入れておく必要があります。
📄 仕事の流れについてさらに詳しくは、こちらの記事で解説しています。

ひとり事務の大変なところ・きつい点
「何がわからないのか、わからない」問題
未経験からスタートしてまず直面したのが、これです。
請求書の入力の仕方は教えてもらえても、「この会社の事務仕事って全体としてどんな流れなのか」がまったく見えない。「もしかして自分、大事なことを知らないまま仕事してるんじゃないか?」という漠然とした不安が、ずっとつきまといます。
入社初期は社長から「今日は何するの?」と聞かれて「何もありません!」と元気よく答えていました。仕事の全体が見えていなかったから、やることがたくさんあると知らなかったんです。今思うと恐ろしい(笑)。
誰も確認してくれない恐怖
振込作業でミスをしたら大変なことになります。でもチェックする人間は自分しかいない。
「ダブルチェックが当たり前」の職場を経験した人なら、この怖さはよくわかってもらえると思います。私は毎月の支払いのたびに、心臓がドキドキしていました。実際に244,000円のところを224,000円で振り込んでしまうというミスをしたこともあります。肝が冷えました。
仕事がじわじわ増えていく
「最初に言われた仕事だけ」でいつまでも済むケースはほぼありません。できる人にどんどん仕事が集まってくる構造が、小さな会社にはあります。
経理だけのつもりが、気づいたら労務・総務・チラシ作成・ホームページ・工事現場の手伝いまで担当するようになっていました。家庭でいう「名もなき家事」のような仕事が多く、やっていることが周囲から見えにくいし、評価もされにくいです。
愚痴る相手がいない孤独感
同じポジションの人が社内にいないので、モヤッとしたことがあっても「わかる〜!」と共感してくれる人がいません。一般企業なら経理部・総務部みたいな部署があって、同僚と愚痴り合ってガス抜きできますよね。それができないのが地味にしんどいです。
大金を扱うプレッシャー
未経験のまま、数百万円規模の支払いを管理しなければならない。わからないことだらけのまま大金を動かすのは、精神的にかなりきつかったです。社長も奥さんも経理事務の仕事の内容をほとんど把握していないため、会社の中にこの仕事を理解している人が一人もいない状態でした。
📄 入社から3か月の不安と、辞めたいと思った理由については、こちらの記事で詳しく書いています。

ひとり事務のしんどさを乗り越えるための具体的な対処法
対処法① 振込ミスを防ぐ「時間をおいて2回チェック」
どうしてもひとりしかいないので、人に頼むことは諦めました。そのかわり、時間をおいて2回チェックすることを自分のルールにしました。
具体的なやり方はこうです。
- 振込データを作成したら、一旦その場でチェック(1回目)
- 別の作業を最低でも30分はさんで頭をリセット
- 改めてゼロから見直す気持ちで2回目のチェック
- 金額・振込先・件数の3点を必ず声に出して確認
この「時間をおく」という一手間が意外と効果的で、1回目では気づかなかったミスが2回目で見つかることが何度もありました。傍から見るとちょっとおかしい光景かもしれませんが(笑)、振込ミスのリカバリーの手間を考えたら絶対にやっておいた方がいいです。
対処法② わからないことは「聞いて・記録して・見返す」の3ステップ
わからないことが出てきたら、税務署・年金事務所・市役所・銀行など、関係する窓口に電話で確認するようにしました。「こんなことも知らないのかと思われたら恥ずかしい」という気持ちになることもありますが、聞かずに間違えた方がよっぽど大変なことになります。
そして聞いたら必ずExcelの記録シートに残すこと。私は以下の項目で管理しています。
| 日付 | 問い合わせ先 | 聞いた内容 | 回答・対応方法 |
|---|---|---|---|
| 〇月〇日 | 税務署 | ○○の処理方法 | 〜のように対応する |
最初は手間ですが、半年・1年と積み重なると「自分だけのマニュアル」ができあがります。同じことで同じ場所に何度も電話しなくて済むようになるので、地味に時短にもなります。聞いたら5分以内にメモを残すこと。記憶が新鮮なうちに書き留めないと、細かいニュアンスがすぐ抜けていきます。
対処法③ 支払い業務は「前倒し」で心の余裕を作る
「支払い日に体調が悪かったらどうしよう」という不安、ひとり事務あるあるだと思います。私が取った方法は、上司の承認が降りた段階で、支払い日は変えずに手続きだけ前倒しにすること。インターネットバンキングの「日付指定の予約振込」を使えば、承認が取れた時点でさっさと予約を入れてしまえます。
これで「その日に絶対やらなきゃ」というプレッシャーから解放されました。体調不良でも私事のお休みでも、罪悪感なくしっかり休めるようになりました。
H3 対処法④ キャパオーバーは「見える化資料」で上司に伝える
仕事量がキャパを超えそうなときは、抱えている仕事とその期限を一覧にした資料を作って、上司に状況を説明するようにしました。「忙しくて無理です」と口で言うだけより、「今こういう仕事がこの期限で〇件あります」と見せた方がずっと伝わりやすいです。
| 仕事内容 | 期限 | 所要時間の目安 | 状況 |
|---|---|---|---|
| 給与計算 | 〇日 | 約2時間 | 進行中 |
| 社会保険手続き | 〇日 | 約3時間 | 未着手 |
これを見せながら「この期限、少し調整できますか?」と相談すると、優先順位の見直しや期限の調整をしてもらいやすくなりました。待遇や給与の見直し交渉にもこの資料は役立ちます。
対処法⑤ 漠然とした不安には「開き直り」も必要
「本当にこれで合ってるのか」という漠然とした不安は、正直なところ完全には消えていません。でも、1年・数年と仕事を続けて大きなトラブルが起きなければ、それは合格だと思うようにしました。
- 1年目:とにかく1周こなすことが目標。わからなくて当然
- 2〜3年目:ひととおり経験して、ようやく全体像がつかめてくる
- 5年目以降:大きなトラブルがなければ「自分のやり方」がほぼ確立される
「私、税理士じゃないんで!!」と心の中で叫びながら(笑)、ある程度開き直ることも必要です。
対処法⑥ 愚痴の発散先は外に作る
職場に愚痴れる相手がいないなら、外に発散の場を作るしかないと割り切りました。私は個人のXアカウントで気持ちを叫んでいます(笑)。あとは美味しいものを食べたり、腹が立つことがあっても「寝て忘れる」を繰り返したり。スシローかくら寿司で一人13皿食べたりもしていました。体が資本なので、溜め込みすぎず、自分なりのガス抜き方法を見つけることが大事だと感じています。
📄 しんどさの乗り越え方についてさらに詳しくは、こちらの記事もあわせてどうぞ。

ひとり事務のメリット・楽な点
人間関係のストレスがほぼない
ひとり事務をやっていて、いちばん大きかった変化はここです。
以前、複数人いる職場で働いていたとき、仕事そのものより人間関係で消耗することが多かったです。席が近い人の機嫌を読む、興味のない雑談に愛想笑いで合わせる、誰かのミス後の重い空気に気を遣う。スーパーのレジ時代には「レジ長派・副レジ長派」、ビジネスホテル時代には「副支配人派・料理長派」みたいな派閥もありました。複数人いると、こういう消耗が必ずついてきます。
ひとり事務になってから、そのストレスがほぼゼロになりました。先週は3日間、社内で声を出したのは電話対応の2回だけ。それでも仕事は全部回りました。誰とも話さない日が続いても、それが「孤独」ではなく「平和」に感じます。40代になると、人間関係のコストが若いころより明らかに体に響きます。そこが減るだけで、日々の体力の使い方がまるで変わりました。
自分のペースで仕事を進められる
今日は経理をまとめてやろう、疲れているから今日は軽めにしておこう、という調整が自由にできます。誰かに話しかけられたり、急な頼まれ仕事が割り込んできたりという中断が少ないので、一度集中すると一気に進められます。「忙しいのに、なぜか疲れていない」という感覚を初めて味わったのは、ひとり事務になってからでした。
無駄な仕事が少ない
目的のよくわからない会議に出なくていい。誰かのミスのカバーに時間を使わない。「ちょっと手伝って」で自分の仕事が中断されない。仕事の量は多くても、無駄な消耗がない。毎日「自分が何をすべきか」が明確なので、モヤモヤが少ないです。
仕事の全体像が見えて安心できる
会社のお金の流れも、業務の全体も自然と視野に入ってきます。「会社が今何をしていて、自分には何が求められているか」がわかるようになると、漠然とした不安が減ります。また、「一人で会社のバックオフィスを回している」という実感が、地味ながら確かな自信につながっていきます。
評価がシンプルでフェア
ひとり事務は、誰がやった仕事かがはっきりしています。ちゃんとやれば評価されます。人間関係や派閥で評価がブレることが少ないです。複数人いる職場では「あの人と仲がいいから」「声が大きいから」で評価が変わることもある。それが地味にストレスでした。ひとり事務にはそれがありません。良くも悪くも、仕事の結果がそのまま自分に返ってくる。その「わかりやすさ」が意外と心地よいです。
📄 ひとり事務のメリットについてさらに詳しく書いた記事はこちら。

ひとり事務に向いている人・向いていない人
向いている人の特徴
① 黙々と作業するのが苦にならない人
一人でコツコツ進める時間がとても長いです。「静かな環境が逆に落ち着く」というタイプには快適な職場になります。私は今では「数字ぴったりカンカン〜♪」と一人で呟きながら仕事しています(笑)。ある日、一人だと思って鼻歌まじりで仕事していたら、業者さんがドアを開けて来社されていて「ご機嫌ですね」と言われたことがあります。うちはピンポンのドアベルがないんです。穴があったら入りたかったです(笑)。
② 数字や期限に対してきっちりできる人
月末の支払い、給与の締め日、社会保険の手続き期限……カレンダーと締切の連続です。「なんとなく大丈夫だろう」は禁句の世界。几帳面すぎるくらいでちょうどいい仕事です。
③ 自分で仕組みを考えて動ける人
マニュアルが整っていない職場が多いです。「じゃあ自分でルールを作ろう」と動ける人は強い。私は入社2年目に、請求書の到着から支払い済みまでを一枚で追えるエクセルを自作しました。ぐちゃぐちゃなスタートでしたが、改良しながら今も使い続けています。
④ 臨機応変に対応できる人
突然の来客、社長からの急な依頼、月末に一気に届く伝票の山。「まぁなんとかなるか」とサッと切り替えられる人はそこまで消耗しないです。
⑤ 必要なことはきちんと言えるコミュニケーション力がある人
「雑談は少なめでいいけど、必要なことはきちんと言える」くらいのコミュニケーション力がちょうどいいです。支払い期限を伝える、書類の不備を指摘する、わからないことを確認する。こういう場面ではっきり伝えられることが必要です。
向いていない人の特徴
① 常に誰かと話していたい人
「人との関わりが仕事のモチベーションの中心」という人には、かなりきつい環境です。社長が外出すると本当に誰もいない時間が続きます。それを「ラッキー♪」と思えるか「さびしい…」と思うかで、向き不向きがかなり分かれます。
② わからないことを聞くのが極端に苦手な人
マニュアルが整っていない分、自分で調べて聞きに行くことが基本スタンスになります。プライドが邪魔して聞けない状態が続くと、ミスやトラブルが増えます。
③ 指示待ちが基本スタイルの人
締切・優先順位・今日やること、これを自分で管理できないと「頼まれたことだけ処理していたら締切に間に合わなかった」という事態になりやすいです。
④ ミスを長く引きずる、完璧主義すぎる人
ミスは必ずします。大事なのは「同じミスを繰り返さない仕組みを自分で作ること」です。ミスした自分をずっと責め続けるタイプだと、精神的にかなりしんどくなります。
⑤ 「事務=楽で定時帰り」のイメージだけで入ってきた人
年末調整や決算が重なる時期は負荷が上がります。「思ったよりやることが多い」というギャップは、覚悟しておいた方がいいです。
📄 向いている人・向いていない人についてさらに詳しくは、こちらの記事をどうぞ。
→【ひとり事務に向いている人・向いていない人の特徴まとめ】

ひとり事務の給与・待遇のリアル
入社当初の給与
正直に書きます。私が入社したときの月給は13万円でした。未経験・正社員・小さな会社、という条件を考えると、当時としてはそういうものかと思っていましたが、今振り返ると決して高くはなかったです。
年数を経てどう変わったか
17年続けてきた今は当時よりは上がっています。ただし、劇的に上がったわけではありません。小さな会社のひとり事務は、大企業のように昇給の仕組みが整っていないことが多く、「仕事の範囲は広がったのに給与はあまり変わらない」という状況になりやすいです。
これは正直なデメリットの一つで、仕事量や責任が増えたタイミングで給与の見直しを交渉するには、前述した「キャパオーバーの見える化資料」が役に立ちます。
給与が低めでも続けられる理由
給与だけで見るとひとり事務が特別恵まれているとは言えません。それでも続けられる理由として、私の場合は以下の点が大きかったです。
- 残業がほぼない(定時で帰れる安心感)
- 人間関係のストレスが少ない(精神的なコストが低い)
- 仕事の裁量が自分にある(やり方を自分で決められる)
- 長く続けることで会社にとって欠かせない存在になれる
給与の数字だけではなく、「働き方全体でどう感じるか」が長く続けられるかどうかに影響している気がします。
ひとり事務で身につくスキルと将来性
身につく主なスキル
経理・財務の実務スキル
請求書管理、支払い処理、給与計算、年末調整、決算準備補助など。最初は本を自腹で買い、年金事務所に電話しながら覚えました。今では給与計算の所要時間が入社当初の3分の1以下になっています。教科書の知識ではなく、実務の感覚として身につくのが強みです。
労務・総務の実務スキル
社会保険の手続き、各種申告、労働保険の年度更新など。専任担当がいる会社では分業されている業務を一人でこなせるようになります。
自己管理・スケジュール管理能力
指示してくれる人がいない分、自分で仕事の優先順位を決めて動く力が鍛えられます。
調べて解決する力
「わからなければ税務署や年金事務所に電話して確認する」を繰り返すことで、情報収集と問題解決の力が自然と身につきます。
業務フローを自分で設計する力
マニュアルがない中で自分なりの仕組みを作り続けることで、業務設計のセンスが磨かれます。
転職市場での評価・将来性
ひとり事務を長く続けてきた経験は、大きな会社では複数人で分担している仕事を全部できるということでもあります。転職市場では「小さな会社の即戦力」として評価されることがあります。
「ひとりで全部やってきたから専門性が薄い」と感じることもあるかもしれません。でもそれは、どんな仕事でもある程度こなせる柔軟性を持っているということでもあります。17年やってきて思うのは、「続けること自体がキャリアになっている」ということです。
未経験からひとり事務はできるのか
結論:できます。私がそうでした。
ただし、最初はかなりしんどいです。
入社3か月目に「辞めます」と伝えた一番の理由は、「よくわかっていないまま大金を扱うのが怖い」でした。そこで自分なりに決めたのが、最低限この3つだけは守るというラインを設けることでした。
- 残高不足を絶対に起こさない
- お金が不足しそうなら早めに社長に報告する
- 振り込み金額を絶対に間違えない
全部を最初から理解しようとしなくていい。まず自分なりの「最低ライン」を決めて、そこだけ徹底する。それができるようになったら、少しずつ範囲を広げる。この積み重ねで気づいたら17年経っていました。
また、未経験からひとり事務への転職を考えている方には、面接前に以下の点を確認しておくことをおすすめします。
- 前任者はいるか(引き継ぎ期間があるか)
- 使用している経理ソフトは何か
- 顧問税理士はついているか
- 給与計算は自社でやるのか外注なのか
私のように「入ってみたら前任者がいなかった」という状況は珍しくないので、事前に確認できるところはしておいた方がいいです。
📄 入社当時のリアルな体験は、こちらの記事に詳しく書いています。

ひとり事務を長く続けるために大切なこと
最低ラインを決めて、そこだけ徹底する
最初から全部わかろうとしなくていいです。「ここだけは絶対に守る」という自分なりのラインを一つ決めて、そこを徹底することから始めてください。それが土台になって、少しずつ仕事の全体が見えてきます。
ミスしたら「仕組みで対処」に切り替える
ミスは必ずします。大事なのは「同じミスを繰り返さない仕組みを自分で作ること」です。私は振り込みミスをきっかけに、指さし&声出し確認を習慣にしました。完璧を目指すより、仕組みで防ぐ方に意識を向けられる人はメンタルが安定します。
愚痴の発散先は職場の外に作る
職場に愚痴れる相手がいないなら、外に発散の場を作るしかないと割り切ることです。SNS、友人、趣味、美味しいもの——自分なりのガス抜き方法を早めに見つけておくことが、長く続けるための土台になります。
「仕事が合わない」と「職場が合わない」を分けて考える
不安を感じたとき、いちばん大事なのはここだと思っています。
- 仕事の内容がしんどい(数字が苦手、一人で判断するのが怖い、など)
- 職場の環境や人間関係がしんどい(社長との相性、待遇など)
この2つは全然別の問題です。「ひとり事務が向いていない」と思っていても、実は「今の職場が合っていないだけ」ということも十分あります。紙に書き出して整理してみると、どちらが原因かが見えやすくなります。
「慣れてきた気がする」の瞬間を待つ
「慣れた気がする」という瞬間は、意外と3〜6か月あたりで来ることが多いです。私の場合、辞めることを伝えた後も後任が決まらず延長が続くうちに、「あれ、なんか慣れてきている…?」と感じる瞬間が訪れました。それが今の17年につながっています。
もちろん職場環境や状況によってそれぞれ違うので、無理に続けるべきとは思いません。でも、「不安でしかないけど、なんとなく続けている」という方には、もう少しだけ待ってみることをおすすめしたいです。
ひとり事務についてよくある質問
Q. 簿記の資格がないと採用されませんか?
私は日商簿記2級を持っていましたが、入社後ほぼ使わずゼロから覚えた部分の方が多かったです。高校卒業後まったく知識を使っていなかったので、面接で「簿記の資格はありますが一度も使ったことがないんですが大丈夫ですか?」と確認したくらいです。体感的には(全商簿記3級程度かな?)、資産・負債・収益・費用・減価償却費が何なのかわかる程度でどうにかなるのではと思いました。知識はあっても実務は教科書通りではないのでそこがぶつかるかもしれませんが、結局は資格どうこうよりも「わからなければ自分で調べる」姿勢の方が実務では大切だと感じています。
Q. 前任者がいない状態で採用されることはよくありますか?
よくあります。私もそうでした。入社前に「前任者はいますか?引き継ぎ期間はありますか?」と確認することを強くおすすめします。それだけで入社後の不安がかなり変わります。
Q. 一人で仕事をしていてミスが怖いです。どうすればいいですか?
「振込は30分おいて2回チェック・声出し確認」「わからないことはその日のうちにExcelに記録」「支払いは前倒しで予約振込」の3つを習慣にするだけで、かなり不安が減ります。
詳しくは本記事の対処法セクション、およびこちらの記事をどうぞ^^
→【ひとり事務がしんどい理由と、17年で編み出した対処法】

Q. 40代からひとり事務への転職は難しいですか?
即戦力を求める小さな会社では、年齢より「一通りの実務ができる」かどうかを重視する傾向があります。40代でひとり事務の経験があれば、それ自体がキャリアとして評価されるケースは十分あります。未経験からでも採用されることがある仕事なので、経験者であればむしろ強みになります。
まとめ:筆者の本音
ひとり事務は、「向き不向きがはっきり出る仕事」だと思っています。
一人でコツコツ動くのが苦にならない、数字や期限にきちんと向き合える、自分で考えて動ける。そういう人にとっては「自分のペースで働けて、意外と快適」な仕事です。
でも、にぎやかな環境が好き・指示がないと動きにくい・人に認められることが大事、という人には、じわじわしんどくなっていく仕事でもあります。
給与が劇的に高いわけでもないし、誰かに褒めてもらえる機会も多くはないです。でも、残業が少なく、人間関係のストレスがほぼなく、自分のペースで仕事できる。そのトータルの働きやすさが、私には合っていたんだと思っています。
17年続けてきて「向いていた」のか「慣れただけ」なのか、正直まだちょっとわからないです(笑)。でも嫌いじゃないし、この働き方が今の自分には合っていると思っています。
今「ひとり事務しんどいな」と感じている方には、とにかく「最低ラインだけ守ることに集中してみて」とお伝えしたいです。全部できなくていいです。まず一個だけ、自分のルールを作るところから始めてみてください。
入社3か月目に辞めますと言った私でも、17年続けられたので。
華やかではないかもしれません。でも、静かで、安定していて、自分らしく働ける。そんな働き方も、悪くないと私は思っています。
このブログでは、40代独身・実家暮らしのリアルな日常や、ひとり事務の体験談を発信しています。
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